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岩手のごっつぉ食べらんせ

いわての牛乳
乳牛とともに一世紀 酪農の町、葛巻
緑豊かな環境と、酪農家たちのたゆまぬ努力

 岩手の県北部に位置し、総面積の8割以上を森林が占める葛巻町。標高も高く、息を吸い込むと、澄んだ空気が心地よい。

 明治25年にホルスタイン種が導入されてから130年。先人たちの努力によって、酪農は葛巻町の基幹産業となった。緑豊かな環境はもちろんのこと、酪農家たちの牛へと向けられる愛情が、質の高い生乳を生み出してきた。

[生産者] 村澤真澄さん
[生産者] 村澤真澄さん

岩手県葛巻町出身。1979年生まれ。山形大学農学部を卒業後、県内高校で理科の講師を3年勤める。2004年、夫の由明さんと就農。北海道での酪農研修を経てから家業へ。2016年、葛巻町牛飼い女子の会「プエラリエワンズ」を立ち上げる。

朝も夜も、ずっとそばに 深まる愛おしさ
クオリティを重視し 生乳生産にこだわる

 村澤牧場は葛巻町で代々酪農を営んでいる。はじまりは、今から65年以上前。真澄さんの曾祖母が牛飼いをし、曾祖父は郵便局員であったが1948年(昭和23年)頃に集乳所作りに奔走した。

 葛巻町の生乳は品質の高さに定評があり、1991年、その味わいに惚れ込み、大手乳業メーカーのタカナシ乳業が町内に岩手工場を建設する。

 真澄さんは三姉妹の長女だが、子供の頃、家業を継ぐつもりはなかったという。土の付いた作業着、匂い、力仕事のイメージから逃れたいと思っていた。しかし、就農後に気持ちが変化する。

「村澤牧場では、家畜市場から買うのではなく、自分の牧場で産まれた牛を後継牛としています。繁殖を手がける中で、自分が種を選んで生まれた牛が子牛を産み、その子牛が母牛となって子牛を産む。牛舎内で、ひいおばあちゃん牛から四世代が並んだ様子を見た時に、命が命でつながっていく連鎖に感銘を受けました。そこから牛がより愛おしくなり、この仕事がおもしろいと思うようになったんです」

 2016年に夫の由明さんが社長となり、父から経営を移譲。真澄さんと由明さんが主に牛舎を管理している。2022年には、新たな牛舎が完成予定だ。

「将来を考えた時、六次産業化もひとつの方法ですが、やっぱり生乳生産にこだわっていきたい。例えばパティシエさんに、『この商品は、この牛乳でなければ作れない』と言ってもらえるように生乳を生産し続けたいです」

つながるレシピ
かぼちゃの天ぷら

材料

かぼちゃ…1/2個
天ぷら粉…100g
水…200ml
牛乳…50~60ml

作り方

天ぷらの衣を作る時に、水に牛乳を加える。すると、衣がふわふわとした食感に仕上がる。かぼちゃだけではなく、さつまいもや鶏肉などもおすすめ。天ぷら粉をホットケーキミックス粉に変えると、よりスイーツ風に仕上がる。

 明治30年創業の歴史ある青果店「いたがき」。スイーツ部門は2002年からスタートし、看板商品となっているのが、「フルーツロール」だ。
「商品を通して、店内にある果物の良さをいかに伝えられるかを大切にしています。素材の味を邪魔しないのは、タカナシ乳業の低温殺菌牛乳でした」と、布田さんは言う。
 この牛乳の良さについて、次のように語る。
「高温殺菌ではないため、牛乳そのものの良さが感じられて、牧草の香りや草原の光景が浮かんでくるようです」

メロン、マンゴー、オレンジなどのフレッシュフルーツ入りのロールケーキ。 クリームは甘さ控えめで、フルーツの美味しさを引き出している。 タカナシ乳業の低温殺菌牛乳は、スポンジ生地にもたっぷりと使用。

株式会社いたがき 本店
チーフパティシエ

布田敏彦さん

宮城県仙台市出身。1962年生まれ。18歳から洋菓子の道に進み、仙台市内の店で腕を磨く。2002年、いたがきのスイーツ部門立ち上げの際に、チーフパティシエとして入社。本店をはじめ5店舗を統括する。

宮城県仙台市宮城野区二十人町300―1
短縮営業中 9:00~18:00(カフェL.O.17:30)/定休日なし/022-291-1221(代)

「いわての牛乳」の取材は
下記の皆様にご協力いただきました。

  • 村澤牧場
    〒028-5403 岩手県岩手郡葛巻町江刈第29地割16
    TEL:0195-68-2236
  • (株)いたがき
    〒983-0862 宮城県仙台市宮城野区二十人町300-1
    TEL:022-291-1221

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