Vol.012 二子さといも
「二子さといも」の産地・北上市二子町は、
北上川と北上山系の丘陵に囲まれた低い平地にあり、
古くから川の氾濫で形成された肥えた土壌が広がっています。
この土地で300年変わらぬ手法で栽培され続けている里芋は、
その品種をかたくなに守りながら唯一無二の存在感を放ちます。
名称:二子さといも
最盛期:9月~10月
特徴:二子さといもは、全国的にも希少な「赤茎(あかから)」種の里芋。独特の強い粘り気ととろけるような食感、柔らかいのに煮崩れしにくい優れもの。
高橋豊さん(63)
岩手県花巻市出身。1956年生まれ。結婚を機に隣市の二子町へ。以来、二子さといもの栽培に関わり、現在は北上地区野菜部会さといも専門部部長として二子地域のけん引役を担っている。
独特の粘り強さとほくほくした食感
味も大きさも一級品の伝統品種
岩手の秋を代表する特産「二子さといも」は北上市二子町で生産されている里芋。昔ながらの栽培技術と共に子孫に伝えられてきた種芋には、先人たちの郷土への思いが詰まっています。地域で長年育まれてきた生産方法や高い品質が評価され、昨年、地理的表示保護制度(GI)に登録。まろやかな肉質に粘りやコク、舌触りの良さが特徴的で、定番のいもの子汁のほか、ご当地グルメの北上コロッケなどにも用いられています。秋になると、地元では二子さといもを使った「いものこ汁」の鍋をにぎやかに囲み、集いを楽しむ「芋の子会」があちらこちらで開かれるなど、コミュニティの活性化にも一役を担っています。
いものこ汁
いものこ汁
鶏ガラで出汁を取った大きめの鍋に、表面をよく洗って皮を剥いた二子さといもと、ねぎ・つきこんにゃく・豆腐・しめじ・鶏肉を入れ、しょうゆ・塩・酒で味付け。あまりかき混ぜずに上手に灰汁を取るのが煮崩れを防ぐポイント。
二子いものこ
母ちゃんの会
県内外の各種イベントで「いものこ汁」を振舞い、二子さといもの知名度向上と都市間交流に貢献する農家の母ちゃんたち
メキシコに古くから伝わる製法で自家製粉して生地を作り、ベースのトルティーヤは1枚1枚丁寧に手焼き。
伝統に忠実なスタイルでタコスを提供しているのは、シェフのマルコ・ガルシアさん。
メキシコの在来種のトウモロコシで作ったトルティーヤに、日本の食材を具に用いたタコス作りにこだわり、「メキシコに比べると、日本には魚や肉、野菜、どれも美味しい食材が揃っています」とマルコさん。
岩手のおいしい食材にも魅了され、「二子さといもはクリーミーで粘り気もあって、とにかく食感がおもしろい、スペシャルなさといも!」と絶賛。「メキシコのトウモロコシは、日本でいう米と同じような主食で在来種も多彩です。在来種のトウモロコシと日本の食材で作るタコスは相性も良く、組み合わせによっていろんな可能性があります」とマルコさんは語る。
日本の食文化に影響を受けたシェフならでは、お店では旬の食材を積極的に取り入れた絶妙な組み合わせのタコスが味わえます。
皮を剥き茹で上げたほくほくの二子さといもを、メキシコ料理で使用する
「モーレ」(Mole)と呼ばれる唐辛子ベースの手作りソースで絡め、ブルーコーンを使った焼き立てのトルティーヤに巻いていただきます。
Los Tacos Azules
(ロス・タコス・アスーレス)
マルコ・ガルシアさん
メキシコ出身。
16年前に国際環境を学ぶため日本の大学に留学。それを機に日本の食文化に魅了される。帰国後、自国でメキシコ料理店を開くも、日本の食材のおいしさに対する思いを捨てきれずに再来日し、2018年9月に「ロス・タコス・アスーレス」をオープン。力を入れている。
Los Tacos Azules
- 〒154-0011 東京都世田谷区上馬1-17-9
- 営業時間/
- [水~土] 18:00 ~ 23:00
- [土/日] 9:00 ~ 15:00
- 定休日/月曜・火曜
- TEL / 03-5787-6990
- ※コース料理は完全予約制
- TEL / 03-3410-6661
「二子さといも」の取材は、
下記の皆様にご協力いただきました。
- 花巻農業協同組合
(さといも専門部 部長 高橋豊さん)
〒024-0014
岩手県北上市流通センター19-33
TEL:0197-71-1333 - Los Tacos Azules
(マルコ・ガルシアさん)
〒154-0011
東京都世田谷区上馬1-17-9
TEL:03-5787-6990