特集シリーズ イーハトーブ生まれの美味しい食材

質・量ともに全国屈指の岩手のしいたけ
美味しくて、からだにも優しい「岩手産しいたけ」の魅力

日本のしいたけ栽培の歴史

今から350年以上も昔。江戸時代中期に始まるとされる日本のしいたけ栽培。当時の手法は、原木に鉈で傷を付け、自然界に浮遊する胞子の付着を待つというもので「鉈目法(なためほう)」と呼ばれていました。その後、幾たびかの変遷を経て、昭和にはいってから現在の原木栽培に繋がる手法が全国に普及しました。

その後、計画生産ができる菌床栽培も普及したことから、日常の食卓にも頻繁に登場するようになったしいたけ。今回の特集シリーズは、旨味、香りともに豊かないわての原木しいたけを紹介いたします。

ホダ木に埋めるしいたけの種菌。接種後は半年〜1年寝かせます

明治時代から評判を集めていた岩手の栽培しいたけ

岩手では1800年頃から、人工的なしいたけ栽培が行われていたと推測されますが、より本格的に手掛けるようになったのは明治になってからのこと。

しいたけ栽培の指導のため静岡から大船渡市に招聘されていた土屋重平が、明治38年同市崎浜で鉈目式の栽培を始めます。これがきっかけとなり、岩手では大船渡地区が先進地に。さらに、しいたけ栽培を凶作対策の副業として推奨することを決めた岩手県は、指導者とともに巡回指導を行い計281人の養成委員を委嘱して、しいたけ栽培の有利性を説き、普及を奨励します。

戦後の混乱もひと段落した昭和24年、岩手県は5ヵ年計画で県独自の品種の選抜育成と統一を図るために岩手大学農学部に研究を委嘱。岩手種菌を開発し普及に努めます。一方で、昭和30年代以降は、農漁家振興対策、林業構造改善などの事業でもしいたけ栽培が注目されることに。その後、昭和41年度には、第一次岩手県椎茸生産5ヵ年計画が示され、生産地化市町村の指定、栽培奨励が積極的に展開され、経営規模の拡大と大量生産を目指し、現在へと続く本格的なしいたけ栽培が始まったのでした。

ホダ木に種菌用の穴を開け、ひとつづつ植えてゆく笠の表面が網目状に割れるどんこ種。生でも、乾しでも美味しい

美味しいだけじゃない。からだにも優しい「しいたけ」

食材にも出汁にもなる「しいたけ」は美味しいだけではありません。からだに優しい健康食材としても無限の魅力を秘めています。その成分のひとつエリタデニンはコレステロール値を下げる効果があり、β-グルカンにはガンの予防効果があります。さらに、骨を丈夫にするビタミンDや、腸内の有害物質を取り除き食物繊維もたくさん含んでいます。食物繊維とエリタデニンという物質が、悪玉コレステロールを低下。、成人病やガンを予防するために大切な役割を担っています。お肉と一緒に食べるのは味だけでなく体にもいいことなのです。さらに、低カロリーで、タンパク質やアミノ酸、ミネラル、ビタミンなどを含んだ栄養豊かな食品でもあるのです。

選別、パックは人海戦術で行います生食用の原木しいたけは、通年栽培を行っています。最近は形状、大きさ、食味、色などそれぞれに特長のある品種も増えています。

岩手は全国屈指のしいたけ生産県

平成16年の岩手の生しいたけ生産量は全国第3位。伝統的な原木栽培は年間522トン、現在主流となっている菌床栽培が4053トンとなっています。(平成16年岩手県特用林産物統計表より)

生産量だけではありません。岩手のしいたけは無農薬栽培なので安全・安心。しかも食味の良さでも知られ、県内最大の原木生しいたけ産地である矢巾町では、首都圏はもとよりしいたけ栽培の先進地である九州にまで出荷する生産者もいるほどです。

乾しいたけの評価も高く、品質を競う全国椎茸品評会において、平成4年度の初優勝から今年度まで優勝4回、準優勝9回を数えるまでに。贈答用や香港への輸出用など、その数も全国屈指と、今や「しいたけ王国」と称されるまでになりました。

原木栽培と菌床栽培

椎茸栽培には広葉樹の原木を利用した原木栽培と、近代的施設で大量生産が可能な菌床栽培のふたつの種類があります。

原木栽培
■原木(げんぼく)椎茸

ナラ、クヌギ、シイなどの広葉樹の原木(長さは90cm位)に種菌を植え付けて栽培する方法。生しいたけはハウス等の施設を利用して生産されることが多く、旨味、香り、歯ごたえが特徴です。 乾しいたけは、そのほとんどが林内などの自然環境のもとで栽培されています。

【主な生産地】
生しいたけ/矢巾町、洋野町、岩泉町
乾しいたけ/洋野町、一関市

菌床栽培
■菌床(きんしょう)椎茸

おがくず等を袋に詰め固形にした培地に椎茸菌を植菌し、ハウスなどの屋内施設で栽培する方法です。温度・水分管理を徹底することで、3〜4ヶ月周期で計画生産できるので、年間を通して供給することができます。主に生しいたけとして食され、原木栽培と比べると、やわらかい食感が特徴。県内で生産される生しいたけの約80%が、菌床で栽培されています。

【主な生産地】
岩泉町、大船渡市、一関市

乾しいたけの種類

生で食べても十分美味しくいただける「しいたけ」は、乾しいたけにすると乾燥の過程で酵素が働き、旨味成分のグアニル酸が増えて、味・香りともに良くなり、更にバリエーション豊かな食材となります。ここでは主な乾しいたけの種類を紹介します。

■どんこ
どんこ

傘が5・6分開きの時に採取したしいたけ。傘の肉が厚く小さめなのが特徴。

■こうこ
こうこ

どんこがより成長した状態で収穫。傘の肉が厚く大きめで、贈答用とされる。

■こうしん
こうしん

傘が9分開きの状態で採取。肉厚が薄く、ヒダが淡黄色なのが特徴。

旨味成分をもっとひきだす「乾しいたけ」の美味しいもどし方

まず最初に乾しいたけを水でサッと洗い、ゴミやホコリを落とします。その後、水につけ冷蔵庫の中で24時間かけて戻すと、常温で戻したもの比べ美味しさ成分グアニル酸がより多く抽出されます。時間をかけられない場合は、室温で1〜2時間戻してお使いください。

水戻しが終わったら火にかけ、泡が出始めたら火を止めます(泡止め)。この状態で、10分放置したら完了です。

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