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イーハトーヴォ・アラカルト「純情の多い料理店」牛乳・乳製品編

牛乳と乳製品の話

「牛乳はちょっと…」という人でもヨーグルトやチーズは好んで食べたり、牛乳や乳製品は、私たちの食生活には欠かせない存在です。今回は、あらためて牛乳と乳製品について考えてみます。

表1/生乳の都道府県別生産量割合

「牛乳」は、生乳100%で熱殺菌した飲み物

「牛乳」とは乳牛から搾った乳のみを熱殺菌したものをいい、成分においても無脂乳固形分が8%以上、乳脂肪分が3%以上と定められています。

それに対して加工乳とは生乳にバター・クリーム・脱脂粉乳などを加えて加工製造されたものをいいます。

また、乳飲料とは、生乳や乳製品以外にコーヒーや果汁を原材料に加えた飲み物で嗜好性が強い飲み物といえます。

人類が牛や山羊などの乳を飲み始めたのは、約1万年前といわれていますが、日本で「牛乳」をそのまま飲むようになったのは明治時代になってからです。その後昭和に入り徐々に需要が伸び、戦後以降は一般家庭でも多く飲まれるようになりました。

全国に占める岩手県での生乳の生産量はおよそ26万8千t(H14)で東北で1位、全国で5番目の生産量を誇ります。(表1)

牛乳のタンパク質を固めたものがチーズ

ナチュラルチーズとは、原材料の乳を乳酸菌や酵素のはたらきで発酵させて固めたものをいいます。ちなみにプロセスチーズとはナチュラルチーズを溶かし、加工したものです。ナチュラルチーズは硬さによって大きく4つのタイプに分類されます。(表2)良質な生乳に自然の力を借りて人間が編み出した高度な技術がチーズづくりなのです。

●表2/ナチュラルチーズの分類と種類

分類

特徴 主な種類
軟質チーズ
熟成期間が短いので、軟らかく、水分を多く含んでいるのが特徴
モッツァレラ、カマンベール、ボン・レヴェック、ヴァランセなど
半軟質チーズ
青カビや細菌によって熟成させる。中身がしっとりしてやわらかいのが特徴
ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、ゴーダ、マリボーなど
硬質チーズ
強く圧力をかけて細菌で熟成させる。大きな穴があいたエメンタールが代表的
エメンタール、チェダー、エダムなど
超硬質チーズ
1〜2年以上をかけてじっくり熟成させる。粉チーズとして利用されることが多い
パルムジャーノ、スプリンツ、ロマノなど
ヨーグルトイメージ

最も古い乳製品、バター

バターの起源は古く、紀元前3500年頃のメソポタミアの石版にバターらしきものを作っている姿が刻まれています。

古代ギリシャ・ローマ時代では、食品としてだけでなく、整髪料などに使われていたほか、なんと医薬品としても利用されていたという記述もあります。日本にバターが紹介されたのは、明治維新の後です。

老若男女問わず好まれるヨーグルト

ヨーグルトも人類に古くから伝われる乳製品の一つです。「ヨーグルト」は古代トルコ地域で使われていた呼び名ですが、当時の中東地域では、地域によってそれぞれの呼び名があり、日常的に食されていました。

ヨーグルトに含まれる栄養は、ヨーグルトになる過程で乳酸菌により消化されやすい形に分解され、タンパク質においては牛乳と比較して約2倍の吸収率があります。ヨーグルトはいわば健康食品の牛乳に乳酸菌の効果をプラスした超健康食品といえるでしょう。

春野菜と山菜、三陸産の魚介類をふんだんに使いヨーグルトとポン酢を合わせたソースで食す海鮮サラダ感覚の御造りです
「海鮮造里」

「海鮮造里」調理例盛り付け中

■材料
活タコ・イカ・ホタテ・ホッキガイ・マグロ・うど・たらの芽・うるい・マーシュ(菜)・ベビーリーフ・ポン酢(大さじ6)・プレーンヨーグルト(大さじ1)・柑橘類搾り汁(少々)
■作り方
@野菜を良く洗う。
Aたらの芽を湯がく。
B魚貝類は霜降りして一口大に切る。
C@ABを彩りよく盛り付ける。
Dタレはポン酢とヨーグルトを合わせる。お好みで、オリーブオイル、バルサミコを混ぜても良い。

だし巻き玉子にチーズを入れて揚げ、中からチーズがとろりと出るようお客様にお出しするのがポイント
「玉子焼の揚だし」

「玉子焼の揚だし」調理例調理中

■材料
A:卵・カニ・しいたけ・たけのこ・三つ葉・モッツァレラチーズ・カマンベールチーズ・湯葉
(だし汁・薄口しょう油・砂糖・塩)180cc
揚げ出しの汁:だし汁(720cc)・薄口しょう油(90cc)・みりん(90cc)・菜の花
■作り方
@Aを全部合わせて、玉子焼きの鍋で焼き上げる。
A@が冷めたら適当な大きさに切って天ぷら衣をつけて揚げる。
B菜の花を添えて完成。

白味噌と牛乳は相性がいいんですまろやかなコクがでます季節の野菜と三陸産の魚介類で
「煮物」

「煮物」調理例盛り付け中

■材料
かぶ・京にんじん・えびいも・カボチャ・芽キャベツ・フカヒレ・エビ・ホタテ・白身魚・アワビ・白味噌(60g)・だし汁(180cc )・牛乳(大さじ2)・本葛
■作り方
@野菜をゆでる。
A合わせた分量の調味だしの中に@と魚貝類をいれる。
B仕上げに水溶き葛を入れる。
Cエビ・ホタテ・アワビは火を通しすぎないように最後に入れる。
牛乳の主要栄養素(100gあたり)
エネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 カリウム カルシウム リン
67kcal 3.3g 3.8g 4.8g 150mg 110mg 93mg
マグネシウム ビタミンA ビタミンK ビタミンB1 ビタミンB2 ビタミンB12 パントテン酸
10mg 39μg 2μg 0.04mg 0.15mg 0.3μg 0.55mg

「五訂 日本食品標準成分表より

牛乳が健康飲料といわれるワケ

牛乳には、良質なタンパク質とカルシウムが多く含まれています。その他、吸収率が非常に良い脂質や、腸の働きを整える糖質が含まれています。ビタミンAとB2も多く含まれていて美肌効果、冷え性防止に効きます。イライラや不眠にも効果があるといわれています。以上のことからも牛乳が「健康飲料」だということが分かります。

日本の乳製品は文明開化とともに

パンと牛乳

日本の乳製品文化は以外と早く飛鳥時代からで、奈良・平安時代では、牛乳を加熱し、凝縮した「酥(そ)」という食べ物が貴族の間で珍重されていたという記述も残っています。しかし、貴族文化の衰退と共に乳製品も消えていき、長い間乳製品文化は閉ざされたのでした。乳製品が作られるようになったのは1875年(明治8年)ですが、本格的なチーズ製造は昭和に入ってからです。かの福沢諭吉も「消化を助ける妙品なり(食肉の説より)」とバターを勧めていました。まさに日本における乳製品は文明開化の産物だったのでしょう。

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