特集

イーハトーヴォ・アラカルト「純情の多い料理店」鮭編

秋の味はやはり鮭が一番

●表1/県内鮭漁獲量の推移
年度 収穫量(トン) 年度 収穫量(トン)
平成4 34,717 平成9 49,164
平成5 46,742 平成10 33,210
平成6 33,789 平成11 21,858
平成7 41,295 平成12 21,663
平成8 69,734 平成13 24,490

本県の鮭の沿岸での漁獲量は、2万5千〜7万トンで推移しています。
新巻鮭は、漁獲された鮭のうち比較的大型の雄鮭で製造されています。

●表2/鮭の種類
種類 説明
シロサケ 秋さけ
秋味とも呼ばれる秋に獲れる代表的な鮭。「シャケ」といえばこの秋さけを指すことが殆どです。
秋さけは、されに銀毛とブナに分類されます。
時さけ
「時しらず」などとも呼ばれる初夏から初秋までの間に獲れるシロサケです。産卵時期前の鮭なので、脂の乗りが良く、皮が軟らかいのが特徴です。
けいじ(鮭児)
通常4年で戻ってくるはずが、未成熟で戻ってきた珍しく稀な鮭です。脂の乗りが良い鮭ですが、希少価値が高く一般には出回らないシロサケです。
ギンザケ
昔は日本でも獲れていた鮭ですが、現在流通しているものは、殆どが養殖のもので、チリなどから輸入されています。脂の乗りが良く人気があります。
ベニザケ
ロシア沿岸からアラスカやカナダと北洋で獲れる身の色が鮮やかな紅色の鮭です。全国の食卓によく並ぶおなじみの鮭です。
マスノスケ
別名「キングサーモン」と呼ばれる高級魚です。白さけにくらべ身の色が濃い朱色で、刺身などにも向いています。養殖のものも輸入されています。
カラフトマス
北太平洋、ベーリング海、オホーツク海、日本海に分布する「サケ科」の魚。主にサケ缶の原料となります。
●表3/鮭の成分比較(100gあたり、mcgはマイクログラム)
食品名 エネルギー(kcal) たんぱく質(g) 脂質(g) カルシウム(mg) ビタミンA(mcg) ビタミンB1(mg) ビタミンB2(mg)
白さけ 133 22.3 4.1 14 11 0.15 0.21
牛肩ロース赤身 316 16.5 26.1 3 3 0.07 0.21
豚肩ロース赤身 157 19.7 7.8 4 4 0.72 0.28
若鶏もも 200 16.2 14.0 5 39 0.07 0.18
「五訂 日本食品標準成分表」より

秋が深まるこの季節、今回の純情の多い料理店は岩手の秋を代表する食材、「鮭(さけ)」を取り上げました。

岩手県の鮭の捕獲量は本州第1位を誇り、獲れた鮭の新巻鮭は鮭の旨味をさらに引き立てます。※(表1)

また、三陸海岸から川を上ってくる鮭は口先が曲がっていることから「南部鼻曲がり鮭」と呼ばれています。鮭は頭から尻尾まで捨てるところがないといわれ、中骨を利用した缶詰まであるほど人気の食材でもあります。

鮭(さけ)の語源は「肉が裂けやすいから」「アイヌ語のなまり」「酒に酔ったように見えてサカケがサケになった」など様々な説があります。 鮭の字源は、桂の花がさく時期に川を上ってくる魚から付いたという説もあります。しかもこの鮭という字は中国では「ふぐ」を意味するなど、面白い点もあります。

鮭という字は古くから使われ、出雲風土記(733年)に記述があります。これは鮭が、神に捧げられ信仰の対象となる特別な魚だったことを証明しています。また、鮭を重要なタンパク源としていたアイヌの人々も鮭をカムイチェプ(神の魚)と呼び、厳しい冬を前に神が、越冬のために授けてくれた特別なものと考えていたそうです。

鮭は「サケ科」に属する魚で、「シロサケ」「ギンザケ」「ベニサケ」「マスノスケ」「カラフトマス」などに分類されます。※(表2)

今回料理で取り上げる鮭は「シロサケ」で、秋さけ(秋味)ともいわれます。秋に帰ってくる秋さけは、産卵・受精のために故郷の川を遡ってきます。その時産み落とされた卵は約2ヶ月でふ化して稚魚になり、春に川の虫などを食べながら成長し、やがて川を下って海へ出ます。三陸で生まれた稚魚は三陸海岸沿いに移動しながら北洋へと向かい、蟹や海老などを食べながら成長します。多くの鮭は4年を経過した後再び故郷の海岸、そして川へと戻ります。どうして鮭は故郷の川が分かるのかは、色々な説がありますが、正確な理由は分かっていません。「鮭のみぞ知る」ということでしょう。

鮭は良質のタンパク質に富んでいます。カルシウムはもちろん鮭の皮にはビタミンAが沢山含まれています。ビタミンAは皮膚の正常保持作用があり肌をなめらかにします。また、最近注目されているDHAやEPA※(解説)も多く含まれています。※(表3)

〈解説〉DHA・EPAの成分・効果って何?

DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳の細胞形成に重要な役割を果たし、EPA(エイコサペンタエン酸)は血液が固まるのを防いで、末梢血管を拡張させる働きがあります。頭が良くなると俗にいわれていますが、むしろ動脈硬化予防やコレステロールを抑制する働きが注目されています。

さけを身と皮で二度楽しめる逸品「さけのソテー香草風味のソース仕立」

「さけのソテー香草風味のソース仕立」調理例調理中調理中2

■材料
さけ70g、オリーブオイル50cc、サラダオイル50cc、イクラ適量、すだちスライス適量、里芋1個、魚の出し汁100cc、白ワイン100cc、生クリーム100cc、エシャロット50g、デイル適量、塩適量、コショウ適量
■作り方
@さけはオリーブオイルとサラダオイルとデイルに30分〜1時間つけ込みます。
Aソースはエシャロット、魚の出し汁、白ワインを鍋に入れて1/5量まで煮つめます。
BAに生クリームを入れて味を整え、デイルのみじん切りを合わせます。
Cさけを取りだし塩、コショウをして焼き上げます。皮は外してカリカリになるまで焼き上げます。

さけとパイ生地が織りなすハーモニー「さけのキッシュ」

「さけのキッシュ」調理例盛り付け中

■材料
パイ生地300g、さけ100g、ベーコン(角切)100g、玉ねぎ(スライス)100g、マッシュルーム(スライス)5ヶ
アパレイユ(流し込む生地)全卵2ヶ、卵黄1ヶ、生クリーム150cc、牛乳50cc、粉チーズ60g、塩適量、コショウ適量、ナツメグ適量
■作り方
@パイ生地はのばしてタルト型に敷いて、素焼きにしておきます。
Aアパレイユの材料を合わせて味を整えます。
Bベーコン、玉ねぎ、マッシュルームを炒めます。さけはワインで蒸して適当な大きさに切ります。
C素焼きにしたタルト型に、玉ねぎ、ベーコン、マッシュルーム、さけを敷きつめて、アパレイユを流し込み、180℃のオーブンで30分焼いて完成。

三陸の旨味をクリーミーに包みました「三陸魚貝のグラタン」

「三陸魚貝のグラタン」調理例調理中

■材料
さけ50g、カキ2ヶ、ホタテ1/2ヶ、玉ねぎ(みじん)10g、マッシュルーム1ヶ、生クリーム、ホワイトソース、塩適量、コショウ適量、粉チーズ適量
■作り方
@玉ねぎ、マッシュルーム、さけ、カキ、ホタテを鍋に入れてワインで蒸し、魚貝類が8分通り火が通ったら取り出します。
A残った汁を煮つめて、ホワイトソースと生クリームを入れ味を整えます。
B魚貝類をAに戻し併せて、グラタン皿に入れてオーブンでキツネ色に焼き上げて完成。
網にかかった鮭

さけは赤身?それとも白身?

さけの身を連想すると、ベニサケの赤身や、「サーモンピンク」などといわれるように赤身魚を連想させますが、実は白身魚に分類されます。水産学上では100gあたりの「ヘモグロビン」と「ミオグロビン」の含有量で決まり、さけは歴とした白身魚なのです。では、さけの身が赤いのは何故でしょうか?それはさけが蟹、海老などをエサにしているからです。これらのエサに含まれる色素の「アスタキサンチン」が筋肉に蓄積されて赤く見えるのです。この色素は熱に強いので、マグロやカツオは熱を加えると白くなるのに比べさけは、熱を加えても赤いのはそのためです。「アスタキサンチン」には抗酸化作用があり血管や細胞の老化を防ぐ効果があるといわれています。

イクラと筋子の違いは?

いくらごはん

「イクラ」と「筋子」は同じさけの卵です。産卵直前の成熟したさけの卵をひとつひとつバラしてあるのが「イクラ」。北洋でとれたさけから取ったバラけない未成熟卵が「筋子」です。

実は「イクラ」という言葉はロシア語です。しかし、ロシアでは魚の卵を総称として「イクラ」と呼ぶので、さけの卵=「イクラ」ではありません。「たらこ」や「数の子」そして「キャビア」までが「イクラ」と呼ばれるのです。ちなみにロシアではさけの卵を「クラスナヤ・イクラ」と呼びます。

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