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生産者が語る、いわての食財。

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生産者インタビュー 旨い米は、風土と人の思いがつくる。県南産ひとめぼれ。米農家 石川千早さん

 県南地方は、岩手県でも米どころとして知られています。北上川が流れる肥沃な土地と、古くから培われた米作りの伝統があります。
県南産ひとめぼれが食味ランキング特A評価、つまり最上級の美味しさとの評価を得ているのは、そんな恵まれた自然環境と人の技があってこそ。中でも奥州市胆沢区はそんな県南にあって、熱心な米農家さんが多い地区です。関西地方のラジオ番組などで、「日本一の田舎」と取り上げられこともあったとか。米農家の石川千早さんに県南地方の米作りについて伺いました。

わたしは20代の頃、東京でサラリーマンをしていました。いろいろな仕事を転々としながら、岩手のことが気になってましたね。いつかは継ぐことになるのかな、などと考え、迷ってました。(笑)30歳でこちらに戻ってきてからは、逆に気持ちがすっきりしました。
年寄りのことも、田んぼのことも、自分が面倒みるんだってことで気持ちが固まった。
最初は、一通りのことを覚えればと、先輩たちに教えを請いながら、技術を盗もうと思って始めた。2年、3年とたつうちに、米作りの奥深さに気がついた。毎年、違うんです。気候も、季節の移り変わりも。その上、自分の工夫によっても、米の出来が違ってくる。毎年が試行錯誤。毎年、米作りの一年生です。

  岩手県は、収穫した米の9割以上が毎年一等米で、米作りに恵まれた地域です。中でも、ここ胆沢は、特A地域でいい米がとれる。作っているのは「ひとめぼれ」です。ひとめぼれは、もともと1993年の大冷害で、急速に広がった品種。「こしひかり」と「初星」をかけ合わせてつくった、寒さに強い品種です。それまではここらでは、ササニシキが主流でした。それが冷害で軒並みやられちゃった。うちでも1反(10アール)9俵(1俵60kg)とれる田んぼで、1俵そこそこ。ところがそのころ出はじめのひとめぼれにいち早く切り替えていた農家は、そんな冷害でも5俵はとれていた。そこでみんな、ひとめぼれに切り替えた。食味も大変よかったしね。それで、平成6年産から24年産まで、米の食味ランキングで最高位の「特A」評価を18回獲得している。(※平成15年は冷害であったため、岩手県のランキングは公表されなかった。)

 ちょっとだけ農家の経営の話をします。わたしのところは専業農家としてやっていて、自分の田んぼが2町歩(約2ヘクタール)。それと人から借りている農地が4.5町歩ほど。合計6.5町歩の田んぼで米を作っています。1町歩は約100メートル四方ですから、かなり広い土地でしょう。1町歩での農家の収入が100万円ほど。6.5町だと、600万円の収入です。でも、ここに種籾や機械のローンなどの費用がかかる。
米作りだけで一家を養うには、10町歩は必要だといわれます。そこで、うちでは化学肥料を使わないで育てたり、農薬の使用を抑えたり、一部は乾燥を天日干しにしたりして、付加価値をつけています。また、この辺では、畜産も盛んで、うちでも肉牛も育てています。ここにさらに野菜もつくるなどして、やりくりしていくわけです。

米作り農家のいいところは、安全でおいしいものが食べられること。自分の時間を好きに使えること。自分のやり方次第で、いいものがつくれること。それと私の場合は、人とのふれあいというご褒美ですね。このあたりは、最近サラリーマンの家庭も増えてきて、 近所の学校でも、農業を知らない子供たちが増えてきています。地域の活動で、学校で米作りの話をしたり、実際に米を食べてもらって農業にふれてもらう。また、この辺りはグリーンツーリズムに参加している農家も多くて、うちにも毎年、中高生が農業体験にやってきます。うちでとれたものを料理してみんなでわいわいやるのも楽しいですよ。
たまたま縁があって、関西のあるラジオ局がこの胆沢を「日本一の田舎」として取り上げてくれました。私のところでも、番組スタッフといっしょに田植えをしたり、収穫をして、そのお米を関西で販売したりね。CMまでつくって売ってくれました。最近もTV局の企画で外人さんたちの稲作体験も引き受けました。

こんなふうに子供たちや都会の人たちに、農業に関心を持ってもらうのはうれしいですね。米作りの苦労や魅力を少しでも知ってもらうことで、産地と都会の新しい関係が生まれることにも期待しています。この岩手の風土を見て作り手を知ったら、毎日食べるお米だって、また違う味わいになるんじゃないかな。

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